マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
論文
韓国における家電量販店成長に対する制約条件の分析
関根 孝
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2015 年 35 巻 1 号 p. 4-18

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抄録

韓国の家電量販店は,次のような事情から発展が制約されている。第1は,韓国における特殊な産業構造,すなわち殆どの主要産業が2~3社から構成されている。家電業界の生産段階も典型的な複占構造で,競争的な市場が形成されていない。第2は,メーカーの強力なマーケティング・チャネル戦略である。韓国の大手家電メーカーは,早い時期から日本と同じように生産者主導型のチャネルを形成してきており,現在では大型直営店が加わり,およそ過半のシェアを占めている。第3は,チェーンストア経営が二重の意味で遅れている。ひとつは,チェーン店全体の売上があまり大きくなく規模の利益を獲得できない。もうひとつは,チェーンストとしての組織能力に問題がある。第4は,独禁法の運用が不十分なことである。韓国の独禁政策は経済政策の色彩が強い。第5は,商業の社会的地位が低く,流通の機能が正当に評価されず,商いに情熱とプライドをもつ人材が集まりにくい。

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