本稿の目的は,ユーザー発の会社と非ユーザー発の会社との間の生産性(社員一人あたりの製品売上)の差を考察することである。生産性の差をもたらすものには,ユーザー発と非ユーザー発という新規ビジネスの源泉の他に,開発・生産・販売の仕組みが挙げられる。そこで,本稿では,新規ビジネスの源泉,製品開発のコーペティション,生産工程の外注,電子商取引などの要素を統合して,その組合せが生産性に与える影響を分析した。ファジイ集合の質的比較分析の結果に基づき,ユーザー発の会社が低い生産性を脱する要素および非ユーザー発の会社が生産性を高める要素を命題として提案した。最後に,ユーザーイノベーション論と合わせて,本稿の理論的かつ実務的な示唆を議論した。