2018 年 38 巻 1 号 p. 92-107
地域ブランドの議論において,よそ者は積極的な役割が期待されてきた。しかし,よそ者の到来や地域側の受容は所与の前提とされ,十分な分析と議論が尽くされていない。本稿では,地域ブランド論と関連する内発的発展論や地域づくり論をレビューし,援用しうる知見を導出した。さらに中山間地域を対象とした定量と定性のトライアンギュレーション研究により,地域社会とよそ者の協働が生まれる条件,仕組みについて深耕を図った。それにより地域コミュニティの受容の様相は,ソーシャル・キャピタルの蓄積の程度によって三つに分類された。また,それに伴って受容されるよそ者も異なること,よそ者との交流や協働を促進するプラットフォームが必要であり,それもまたソーシャル・キャピタルの水準で変容しうることを明らかにした。