2019 年 39 巻 1 号 p. 6-23
ブランド戦略の可能性の中心は<交換・意味・記号性>という軸により経営,マーケティング,コミュニケーションの諸側面を通じてブランド価値を縫い上げるように戦略が展開される点にある。しかし,“インダストリー・イノベーション”という既存の産業や業態の領域(バウンダリー)を解体越境し,プラットフォームとして可変的にサービスをつなぎ替えするエコシステムから生産・交換様式が変化しつつあり,ブランドの様態でモード・シフト(様態変化)が起きているのではないだろうか。本稿では,ブランドの様態が今までのブランド知識を通じた「資産システム」から,サービスに媒介されるユーザー体験を介しての「活動システム」へとシフトしている状況を辿り,価値共創の体験から共有化される記号性(社会に共有されるシンボル性)から構成され,経営や事業そのものに資源統合として関わる「活動システム」としてのブランド戦略の可能性を検討する。