2021 年 40 巻 3 号 p. 19-30
ふるさと納税は,問題点を抱えているものの,着実にその規模が拡大している。一方で,ふるさと納税に関する研究は,その実態把握研究が大半であり,特に利用者研究は限定的な理解に留まっている。本稿では,まずふるさと納税を寄付型および報奨型クラウドファンディングとして理解し,利用者がふるさと納税を行う要因を検討する。次に寄付者が寄付を行う要因を検討する。さらにふるさと納税の返礼品を寄付つき商品と理解することでコーズ・リレーテッド・マーケティング研究を通じ,消費者が寄付つき商品を購入する要因を検討する。最後にふるさと納税の利用者を理解する枠組みを提示し,地方自治体のマーケティングへの示唆を述べる。