2022 年 41 巻 4 号 p. 53-64
競争の多様化に伴い小売ビジネスモデル研究の重要性が増している一方で,経験的研究は相対的に蓄積が遅れている。本稿はこの理由を考察した上で,ビジネスモデルを学術的に議論するのに適した分析アプローチとして,過程追跡法(Process Tracing Method)に基づく事例内因果分析(Within-case Causal Analysis)と質的比較分析(Qualitative Comparative Analysis)を紹介した上で,両アプローチがどのような点でビジネスモデルの経験的研究をブレークスルーできるのかを議論する。