2022 年 41 巻 4 号 p. 65-70
「制御焦点理論」は,近年,マーケティング・消費者行動研究の分野において,多くの応用研究が行われている理論である。本論は,制御焦点理論基盤型の広告研究を,3種類に分けてレビューする。すなわち,(1)広告メッセージのフレーミングに関する制御焦点研究,(2)広告メッセージの解釈レベルに関する制御焦点研究,および,(3)広告の非言語的構成要素に関する制御焦点研究である。そして,レビューの結果として浮上する今後の研究の方向性として,立ち遅れている広告の非言語的構成要素に関する制御焦点研究の推進が必要であること,さらには,こうした広告の非言語的構成要素は,文化的背景の影響を受ける傾向が強いため,異なる文化的背景を持つ消費者を対象とした比較研究が求められることを指摘する。