2024 年 44 巻 1 号 p. 68-75
消費者のハピネスやウェルビーイング(以下,「“幸せ”」)に対する注目が高まっており,その中でもブランドは個人の“幸せ”に結びついていると考えられている。一方で,ブランド研究において消費者の“幸せ”に焦点を当てた理論的な検討はまだ初期段階にある。そこで,本文献研究はマーケティング研究のさらなる発展に向け,ブランド研究における消費者の“幸せ”を扱った研究を概括し,今後に向けた重要研究課題を提示することを目的とした。“幸せ”の概念,先行要因,結果要因という3つの観点からレビューを行った結果,(1)概念が整理されていないこと,(2)負の影響を及ぼす先行要因に関する検証が不足していること,(3)一般的な“幸せ”の結果要因についての検討が比較的少ないこと,などが示唆された。