2025 年 45 巻 3 号 p. 196-206
メタバースの仮想製品が新たな収益源として注目される一方,メタバースの社会や製品の特性により,現実世界のステータスブランド価値がそのまま通用しない可能性がある。そうであれば,ステータスブランドの優位性の喪失を意味することとなる。そこで本研究では,ステータスブランドの価値がメタバースにおける仮想製品に及ぼす影響を明らかにするために三つの実証研究を行った。研究1では,現実製品と比較してメタバースにおける仮想製品では,ステータスブランドが理想自己や製品態度に及ぼす影響が弱まることを確認した。このようなステータスブランドの有効性低下という課題に対応するため,研究2では,「フィジタルフレンド」の存在に着目し,これがステータスブランドの効果を再活性化することを明らかにした。研究3では,さらなる心理的メカニズムとしてコミュニティからの受容期待が関わることを明らかにした。これらの知見は,メタバースにおけるステータスブランドの効果メカニズムを解明し,フィジタルフレンドを介した社会的アイデンティティ形成の理解を深め,リアルとバーチャルを橋渡しするブランド戦略の新たな方向性を提示している。