2019 年 36 巻 p. 16-23
SKYACTIV-Xは,SKYACTIV-Gから始めた理想の内燃機関追求のゴールに向けた第2弾である。2nd Stepでは熱効率向上として比熱比の改善を取り上げた。具体的にはリーン燃焼に取り組み,その実現のために圧縮着火を取り入れた。圧縮着火をさまざまな環境条件で成立させるためには多くの課題に対してのブレークスルーが必要であった。
主要課題は,圧縮着火燃焼範囲を拡大しつつ,燃焼の切り替えを完全に制御することであり,この課題をブレークスルーしたのが燃焼方式SPCCI(「火花点火制御圧縮着火」の略)で,圧縮着火燃焼を火花点火で制御した燃焼である。
商品化にあたってはSPCCI燃焼技術を日常の使われ方の中で,いかに多くの場面で使えるようにするかが重要であり,燃焼制御,熱マネージメント技術やNV対応技術に関しても多くの新しい技術を取り入れた結果,SKYACTIV-G比, 全域で約10%以上のトルク改善を図りつつ,NEDCモード燃費で前モデルに対し約30%の燃費改善を図った。