2021 年 38 巻 p. 105-110
自動車の防錆品質の適正化のためには,部品ごとの腐食環境を定量化し,それぞれの環境に応じた防錆処理を施す必要がある。しかしながら,車両の構成部品は何万点にも及ぶことから,実車での腐食環境計測には膨大な時間,コストを要する。そこで,防錆開発の効率化のために部品ごとの腐食環境を予測する上で最も重要な因子である走行中の部品ごとの被水量に着目し,被水シミュレーションの開発に取り組んだ。流体解析手法としてMoving Particle Simulation(MPS)法を活用することでタイヤからの水跳ね挙動を再現し,更に車両周りの気流速度データとの連成解析を行うことで,極めて高精度な被水量の予測技術を確立した。