2021 年 38 巻 p. 32-37
一般的に,BEV用の駆動用バッテリーの入出力可能電力は温度や充電状態に大きく依存するため,駆動用モーターの出力や回生発電量が減少し,走りの魅力や航続可能距離に影響が出る。MX-30 EV MODELでは,「入出力可能電力を余すことなく使う」,「入出力可能電力を安定させる」,「入出力可能電力が低い状態を補う」の3つの観点で,厳しい温度・充電状態でもバッテリーのポテンシャルを可能な限り使うための要素技術群を開発した。これにより,マツダが目指す人馬一体の走りと,実用的な航続可能距離を確保することができた。本稿では,MX-30 EV MODELの電気駆動システムの紹介とともに,この要素技術群である「バッテリーを使い切る技術」について解説する。