私たちの暮らしは地球の限りある資源に支えられており,私たちの暮らしを持続可能にするためには,サーキュラー・エコノミー (Circular Economy : 以下,CE とする) の考え方が不可欠であることはいうまでもない。しかし,CE については,日本には数多くの優れた技術や取り組みがあるにもかかわらず,ほとんど知られていないのが現状だ。また個々の取り組みは独立して行われる傾向があり,これも普及を妨げる原因となっている。CE の取り組みを普及させるためには,技術開発だけではなく,「伝える」こと,「つなげる」 ことの役割を見直す必要がある。
こうした問題意識から,本稿では,(1) CE の取組事例について,専門家以外のより広いステークホルダーに伝えることで,地方創生等日本の中心的課題の実践にこの考え方が取り入れられる可能性と,(2) 取り組みの間につながりを作り出し,システムとして機能させる意義について,米国オレゴン州ポートランドの 「持続可能な生産と消費」 の取り組みを事例として論じる。