廃棄物資源循環学会誌
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特集:海洋プラスチックごみ
河畔におけるごみのポイ捨て対策
――海洋ごみ問題を考える――
中俣 友子阿部 恒之
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2018 年 29 巻 4 号 p. 304-308

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抄録

本論は,著者が過去に行ったごみのポイ捨て対策のための研究 (実験室実験・現場実験) を紹介し,海洋ごみ対策に関してささやかな提言を試みたものである。実験室実験では,スライドを提示して一対比較でごみの捨てやすさを判断してもらった。現場実験では,宮城県仙台市と名取市の間を流れる名取川河畔に看板を設置し,ごみの量を実際に比較した。両実験とも,監視カメラの有無,先行ごみの有無,景観の違い (草むら・更地・花壇),看板の違い (無・目の絵・監視カメラ撮影画像) の 4 要因を検討した。その結果,監視性の確保,記述的規範への配慮,領域性の確保,情緒的ブレーキが有効なごみ対策になりうることが明らかになった。海洋ごみについても同様の対策が有効であると推測されるが,対策の対象地がごみに悩む現場にとどまらず,海の向こうにまで広がっていることが問題を複雑化している。

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© 2018 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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