2015 年 25 巻 3 号 p. 138-143
スピロノラクトン(SPI)に代表されるミネラロコルチコイド(MR)拮抗薬は、高血圧や心不全の治療に用いられている。しかしNa+−K+交換系の阻害によりカリウムの尿中排泄が減少することで高カリウム血症のリスクが高まるため、慎重に使用しなければならない。我々はMR拮抗作用に炭酸脱水酵素(CA)阻害を付与することで、カリウムの尿中排泄が促進され高カリウム血症のリスクが低減されると考えた。検討の結果、MR拮抗作用とCA阻害作用を併せもつビフェニル誘導体を見出した。構造最適化を経て得られた化合物を高血圧自然発症ラットに2週間反復経口投与したところ、SPIと同様に収縮期血圧および心臓重量の増加を有意に低下させた。さらに、SPIで見られた血清中カリウム濃度の上昇が、本化合物では見られなかった。