2015 年 25 巻 3 号 p. 150-157
Fibroblast Growth Factor Receptor(FGFR、線維芽細胞増殖因子受容体)は受容体型チロシンキナーゼの一種である。近年、癌細胞でのFGFR遺伝子変異・過剰発現・転座変異などが報告され、これらの変異が癌細胞増殖に関与することが示唆されている。我々はFGFR選択的阻害剤が有効な抗がん剤になりうると考えて開発研究に着手した。自社化合物ライブラリーのハイスループットスクリーニングにより得られたアミノピラゾール骨格を持つヒット化合物の構造最適化を、FGFR1のATP結合部位における結合様式の3Dモデル解析を参考に行った。キナーゼ阻害選択性や抗腫瘍効果の優れた、新規FGFR選択的阻害剤(CH5183284/Debio 1347)を見出した。