2015 年 25 巻 4 号 p. 198-206
酸関連疾患治療薬の歴史を振り返ると、より強力で、より持続時間の長い酸分泌抑制薬を求めて開発が行われてきた。その最後に登場したのがプロトンポンプ阻害薬(PPI)であるが、2000年頃から、PPIでコントロールできない症例が報告されるなど、最強の酸分泌抑制薬と考えられてきたPPIによる治療の限界が明らかになってきた。我々はPPIであるランソプラゾールの課題を克服する新しい酸分泌抑制薬の開発を目指して2003年より研究を開始し、鋭意検討を続けた。その結果、ヒトにおいて胃酸分泌を強力に、速やかに、長い時間抑制する新規カリウムイオン競合型アシッドブロッカー ボノプラザン(TAK-438)の創製に成功した。本薬剤は2015年2月にタケキャブ錠として上市されており、新たな治療オプションとして医療ニーズへの貢献が期待される。