2018 年 28 巻 1 号 p. 24-28
経口剤の開発においては、選択された候補化合物の物性データに基づき、開発過程で生じる可能性のあるリスクと、その回避のための方策を把握しておくことが重要である。特に、溶解度が低く、吸収が溶解度-膜透過律速となるような化合物では、溶解飽和によって吸収に頭打ちが生じ、毒性試験などに必要な血中曝露が得られないため、プロジェクト自体の中止という重大なリスクとなる可能性がある。その改善のための製剤学的な方策として、化合物の溶解度自体を上昇させることが可能な過飽和製剤の利用に注目が集まっており、今後、適切な製剤化技術を早期に導入することによって、経口剤開発の効率化が可能となるものと期待される。