2018 年 28 巻 4 号 p. 163-166
生体分子の網羅的測定機器の普及や医療情報の電子化、ITの急速な進歩といったさまざまな恩恵により、収集・処理可能なデータ量は爆発的に増大している。その一方で、製薬業界では研究開発費の増加や創薬標的の枯渇などの問題に直面している。そのため、創薬研究における多様な“ビッグデータ”に対して、AIを活用することにより創薬標的探索に活路を見出そうとする試みが近年注目を集めている。AI技術のなかでも特に深層学習に対する期待は大きく、電子カルテを二次利用した疾患予測、遺伝子やタンパク質などのオミクスデータ統合による疾患関連因子の探索など、さまざまな用途で用いられている。今後も増え続けるデータを有効活用するために、さらなるAI技術開発やデータ収集の基盤整備が求められている。