2018 年 28 巻 4 号 p. 187-192
遺伝子工学を用いないタンパク質の選択的修飾法として、リガンド指向性化学が適用範囲を広げつつある。リガンド指向性化学は、合成小分子を利用したアプローチであり生体に内在する特定のタンパク質の機能を損なうことなく修飾することが可能である。実際、培養細胞にとどまらず組織切片や生物個体に内在するタンパク質への選択的な修飾も可能となってきた。さらにこの技術を応用すれば、生細胞上で薬剤をスクリーニングできるバイオセンサーの構築や新しい不可逆阻害剤の設計も可能となる。今後、こうしたケミカルラベル法が生命現象の理解や創薬技術の発展に大きく寄与してくことが期待される。