2020 年 30 巻 1 号 p. 15-18
近年の医薬品開発を取り巻く環境は著しい変化を遂げており、ブロックバスター創出のための疾患発症の標的分子の枯渇や、アンメット・メディカル・ニーズの高まりなどを理由に、新しい治療技術(モダリティ)多様化時代に突入している。特に新たなモダリティとしてのペプチド医薬や遺伝子・核酸医薬などを、さまざまな生体内バリアを突破させ、標的部位(臓器、組織、細胞等)へと効率的に送り込むには、薬物送達システム(drug delivery system;DDS)が必要不可欠とされている。特に超高齢化の進展により、アルツハイマー病、精神・神経疾患、がんなどの治療のための新規DDS技術の開発は、医療ニーズに応えうる創薬実現化につながるものと期待されている。