2020 年 30 巻 2 号 p. 67-70
遺伝性ライソゾーム病は、細胞内小器官の1つであるライソゾーム内に局在する加水分解酵素や補酵素などの遺伝的欠損により、脂質や糖脂質などの未分解の基質が蓄積することで引き起こされる疾患群の総称である。ライソゾーム病に対するシャペロン療法とは、患者細胞内の変異ライソゾーム酵素に対し親和性を示すシャペロン化合物を作用させることで、構造的に不安定な変異酵素タンパク質を安定化し、酵素活性を復元し、治療効果を得る方法であり、日本で最初に開発された新規療法である。また、低分子シャペロン化合物は、経口投与が可能で、脳病態に対する効果も期待できる。本稿では、筆者らが中心となって行ったシャペロン化合物の基礎開発から、臨床応用までの最新の知見を紹介したい。