2020 年 30 巻 4 号 p. 180-185
ペプチドチオエステルとN末端システインペプチド間の選択的な反応であるNative Chemical Ligation(NCL)法をはじめとする無保護ペプチド間の化学選択的ライゲーション反応の開発により、タンパク質合成が有機化学者の手によって達成できる時代となった。さらに、NCL法に関連した各種方法論の開発・改良も加わり、150残基を超える修飾タンパク質を含むさまざまなタンパク質も十分に合成標的の範疇に入りつつある。本稿ではNCL法とともに最近新たに開発された化学選択的縮合法であるSer/ThrおよびKAHAライゲーションについて概説する。