医学教育
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原著-探索的研究
臨床研修の充実化による地域の医師確保モデルの提唱(その1)
―アクションリサーチによる短期的な臨床研修のカリキュラム評価―
錦織 宏鈴木 富雄三島 信彦山本 直人
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2009 年 40 巻 1 号 p. 19-25

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抄録

新臨床研修制度下において,地域の医師不足問題が深刻化している.その解決のための一案として,本研究では,地方都市の郊外にある海南病院における臨床研修カリキュラム改変に対する評価を行って,それを基に臨床研修の充実化による医師確保モデルを提唱する.本稿ではまずアクションリサーチの形で短期的なカリキュラム評価を行った.
1) カリキュラム改変では,屋根瓦方式の診療チーム体制をとり,研修医がより主体的に診療に参加できるシステムを整備した.また教育回診やカンファランスを積極的に導入した.
2) 研修医を対象に行ったカリキュラム評価の結果「研修医に対する教育の機会の保証」や「臨床研修の充実化という病院の明確な方向性」などが臨床研修の充実化に必要な点としてあげられた.
3)カリキュラム改変後,海南病院の研修医数は増加した.臨床研修の充実化は一定の成果を収めたと考えられた.
4) 開業医に臨床研修に参加してもらって研修医に教育の機会を保証する方法は,より一般化可能性の高い教育資源確保の手法と考えられた.

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© 2009 日本医学教育学会
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