医学教育
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原著-探索的研究
臨床研修の充実化による地域の医師確保モデルの提唱(その2)
―臨床研修の中期的カリキュラム評価から―
錦織 宏鈴木 富雄
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2009 年 40 巻 1 号 p. 27-33

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抄録

新臨床研修制度下において,地域の医師不足問題が深刻化している.その解決のための一案として,本研究では,地方都市の郊外にある海南病院における臨床研修カリキュラム改変に対する評価を行って,それを基に臨床研修の充実化による医師確保モデルを提唱する.本稿では前稿に加えてさらに中期的なカリキュラム評価を行い,上記モデルの提示を行った.
1) カリキュラム評価のため研修責任者を対象に行ったインタビュー調査の結果,臨床研修の充実化に必要な8個の項目が明らかになった.
2) 臨床研修の充実化によって初期研修医が増加した後,後期研修の質を保証することで初期研修修了者が残留し,それが医師確保に繋がる.
3) また初期・後期の研修医が多い病院は大学の関心を呼ぶため,指導医を派遣してもらうことがより容易になり,これも医師確保に繋がる.
4) 臨床研修の充実化による医師確保の一定の成果が出るまでは最低約3~5年の期間が必要であるが,医学部の定員増の結果を待つよりは即効性がある.

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© 2009 日本医学教育学会
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