医学教育
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原著-探索的研究
シミュレータを用いた心臓病診察のスキル訓練セミナーとその評価
別府 正志奈良 信雄鈴木 利哉磯部 光章
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2009 年 40 巻 6 号 p. 419-424

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抄録

近年,シミュレータを用いたスキル訓練が急速な広がりを見せている.しかし,実際にシミュレーション教育が臨床技能習得の向上に有用かどうかの定量的な検討はなされていない.シミュレーション教育をさらに発展させるには,教育効果の評価が望まれる.スキルスラボが主体となって心臓聴診のセミナーを開催し,有効性,課題を検証した.
1) スキルスラボの効果的で効率的な運用を目指し,スキルスラボ管理室が主体となり,セミナー形式で一連の訓練を企画・立案・実施した.
2) 医学科学生16名に対し,講義60分,実技60分からなるセミナーを3回施行した.全員にセミナー前・直後・5カ月後に,記述式調査,筆記試験,実技試験を実施した.
3) 学生によるセミナーの評価は高かった.学生の心音聴取スキルに関する自己評価は有意に改善し,5カ月後も維持された.セミナー前後で学生の心音シミュレータの利用頻度が向上した.
4) 実技試験の成績は,セミナー前に比し直後に有意に向上し,それが5カ月後にも維持されていた.筆記試験は直後は向上したが5カ月後にはセミナー前の状態に戻った.
5) 今回行ったセミナーは,学生の聴診スキルの向上に資するものであることが示唆された.また,利用機材等の有効利用にも有用であった.

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© 2009 日本医学教育学会
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