医学教育
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報告
視能訓練学生に対する早期体験実習の試み
―ニーズの異なる地域の福祉施設で実践した実習プログラム―
沼田 公子
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2010 年 41 巻 1 号 p. 29-33

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抄録

現在,視能訓練学生に対する早期体験実習の先行研究はない.早期体験実習の場には,主として医療現場と福祉介護施設の2つがあるが,一般に医療現場での実習は学生教育に理解のある附属病院で行われている.しかし,視能訓練士養成校の7割は専門学校で,附属病院の併設がなく,医療現場を実習の場とすることが困難なところも多い.本研究ではニーズの異なる複数の福祉施設において早期体験実習プログラムを実践し,その評価を目的に学生に対してアンケート調査を行った.その結果と問題点について報告する.
1) 学生の実習意欲の程度は,実習開始後向上し,視能訓練士の専門領野である視覚障害関連施設とその他の施設間との差,および男女間の差はほとんどみられなかった.
2) 実習開始前から男女とも実習の意義・医療人への意欲への意識は高く,実習に対する高い期待がうかがえたが,実習開始後も緊張・コミュニケーション力の低さが持続し,実習が辛いと意識していることがわかった.
3) 本実習プログラムは医療専門職への動機づけには成功したと考えられるが,学生が自信を持って実習するには,施設や人に慣れるためのある程度の時間が必要とも思われ,同一施設での実習との比較検討が必要である.

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© 2010 日本医学教育学会
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