わが国の公衆衛生学教育は,第二次世界大戦後に制定された日本国憲法第25条や医師法をはじめとする医療従事者の資格関連法規に基づく専門教育と,人生の各ステージにおける主要な健康問題や健康づくりを中心とした教養教育を2つの大きな柱として,大学(学部)レベルで行われてきた.また,大学院(博士課程)における公衆衛生学教育は,研究者養成を主目的としており,当該領域を広く体系的に学ぶというカリキュラムではなかった.近年,日本社会は新たな健康・医療問題や種々の環境リスクに直面しており,新たな公衆衛生の専門家教育が求められている.そのニーズに対応するため,海外の公衆衛生大学院をモデルとした専門職大学院課程の設置が進みつつある.