医学教育
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原著
Trait Emotional Intelligence Que-SFとJefferson Scale of Physician Empathyの日本語版開発と信頼性・妥当性の検討
阿部 恵子若林 英樹西城 卓也川上 ちひろ藤崎 和彦丹羽 雅之鈴木 康之
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2012 年 43 巻 5 号 p. 351-359

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抄録

  情動能力(Emotional Intelligence:EI)と共感的態度(Empathy)は,医療従事者にとって患者医師関係の構築に不可欠な要素であるが,医学生のEI とEmpathyは学年が進むにつれ低下すると報告されており,日本の現状を明らかにすることは重要である.しかしながら,適切な質問票がない.本研究では,TEIQue–SF(Petrides & Furnham 2001)とJSPE(Hojat et al. 2001)の日本語版を作成し,信頼性と妥当性を検証した.
1)医学部医学科の学生370名を対象に,TEIQue–SFとJSPE日本語版の自記式質問紙調査を実施した.有効回答は321名(88%)であった.
2)α信頼性係数はTEIQue–SFで0.87,JSPEで0.89となり,I–T相関の結果は共に全項目で正の相関(TEIQue–SF 0.29–0.64,JSPE 0.27–0.72)が見られ,尺度の整合性が確認された.
3)項目が削除された場合のα係数がTEIQue–SF(0.84–0.85)とJSPE(0.81–0.86)共にどの項目においても全項目の場合のα係数より低い値を示した.
4)因子分析では原版とは異なる因子構造であったが,基準連関妥当性の検討では,5大性格モデルの心理検査と相関が見られた.
5)上述の統計解析結果から,TEIQue–SF及びJSPE日本語版は,総合得点による比較検討に用いるのは妥当と考える.

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© 2012 日本医学教育学会
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