2013 年 44 巻 5 号 p. 307-309
特集の最後に医学/医療者教育から文化人類学に期待することを二点にまとめた.一点目は文化相対主義の視点の提供である.本邦の医学教育には欧米至上主義的な姿勢が見られることが多い.医学の持つ一般化可能性の高さを文化や制度に依存する医学教育に持ち込みがちな医学教育者に対して,文化相対主義的な視点での議論の促進を期待したい.二点目は臨床の文脈での文化人類学教育の展開である.医療面接教育における解釈モデルの教育を先例とし,医師・医療者にとって必要な文化人類学の知見は何かという視点を持って,臨床の文脈での教育を期待する.またその際には文化人類学者側の医療者理解が必要となる.