近年, 女性医師の勤務継続支援に関しては活発に議論されるようになってきたが,ジェンダー平等へ向けたより包括的な議論は不十分である.本稿では,日本の医学界におけるジェンダー不平等をめぐる現況について概観し,ジェンダー平等に向けた課題について考察する.医学界のジェンダー不平等の主な原因として,性役割分業を前提とした医師の長時間・不規則な勤務体制,女性医師の家庭と仕事の二重負担,女性に対する固定観念・偏見・差別等があげられる.女性であることが,医師として不利にならない労働環境を構築するために,ジェンダー平等へ向けた取組みが必要である.