抄録
近年, 生成AI, 特に大規模言語モデル (LLM) の急速な普及により, 医学教育はAIの存在を前提とした再設計を迫られている. 本稿では, 臨床実習直前の医学生を対象とした臨床推論グループワークにおいてマネジメント推論を中心的テーマとし, 学習実践をともに構成し得るPeerとして生成AIを位置づけた教育実践を報告する. 実践の振り返りにおいては, ソシオマテリアリズムの枠組みに基づき, 本実践を学習者-状況-テクノロジー-その他の環境的ダイナミクスが相互に影響しあって成立するものとして理論的に検討した. 生成AIは単なる情報源ではなく, 問いの生成, 根拠づけ, 説明責任の配置を再編する物質的要素として機能し得る. 本稿は, 生成AIの存在を前提とした学習実践の再編過程を記述する観察軸と設計原理を提示し, 今後の医学教育実践への汎用的示唆を与えるものである.