医学教育
Online ISSN : 2185-0453
Print ISSN : 0386-9644
ISSN-L : 0386-9644
医科大学生の卒後活動状況と入試および学業成績との関連について
阪口 周吉野末 佳春田中 博山田 瑞穂
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 24 巻 3 号 p. 203-208

詳細
抄録

大学の主要な使命の1つは, 優秀な人材を育成して世の中に送り出すことにある.その見地から浜松医科大学入学者選技方法研究委員会では, 卒業生の卒後活動状況と入試および在学時の成績との関連について調査研究を行った.本学1~9期生の836名に6項目よりなるアンケートを発送し, うち524名より得た回答を分析して次のような結果を得た.1.卒後の活動は男女で明らかな差がある.2.入学時高年齢群も現在の卒後期間の範囲では研究診療活動に差があるとはいえない.3.在学時成績は一般に女子が高いが, 高学年となるに従ってその差は減少し, 臨床では差がなくなる.さらに卒後では1.のように逆転し, 男子が優位となる.4.卒後の活動と在学時の総合成績とは相関する.しかし一般教育・基礎科目では相関せず.高学年の臨床科目で相関が現れる.5.卒後の活動と入試の一次成績とは相関しない.しかし個別二次試験とは相関がある.卒後の研究活動に重点をおいた得点も同様の傾向を示した.6.共通一次試験の施行前後の群では明らかな世代間差があり, 以後の群は一般教育を除いて学業成績が低く, 臨床で有意の差がある.7.卒後, 充分な活動期間を有する共通一次以前の群では, 卒後の活動と入試の成績は二次試験を含め全く相関しない.一方在学時の成績とは相関があり, とくに高学年の臨床科目と著しい.8.在学時にサークル活動を行った群の方が学業成績が良く, とくに高学年の科目で差が著しかった.

著者関連情報
© 日本医学教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top