医学教育
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筑波大学医学専門学群卒業生のフォローアップ
卒業生によるカリキュラムの振り返り評価と卒後の経歴
森田 倫子工藤 典雄加納 克己高橋 秀人林 英生大野 忠雄三井 利夫阿部 帥
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1997 年 28 巻 4 号 p. 245-251

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抄録

筑波大学医学専門学群は講座制を廃し, 統合カリキュラムによる6年一貫医学教育を実施し, 1994年までに1,561名が卒業した. この卒業生を対象に現在の社会的活動状況を調査し, あわせて本学学群のカリキュラムに関する意見調査を行った.卒業後8年以上経過した者では, 44~73%は病院医師として活躍しており, 16~40%は大学において教育・研究に従事し, 開業している者は0~8%であった.卒業生の約80%以上は卒業後研修医 (2年以上) を経験しており, 約40%は本学の6年制のレジデント (定員40名/年) を修了していた.いわゆる 「定職に就いた医師」 となるまでには約10年の卒後教育・研修を受けていた.専門医・認定医を取得している者は93%であるが, 学位を取得している者は70%, 準備中を含めても80%程度であり, 専門医の志向が強かった.女子においてはとくにこの傾向が強く, 専門医・認定医取得85%に対して学位取得 (準備中を含めても) は53%であった.本学のカリキュラムの評価はおおむね好評であった.卒後の進路決定には, 自分の適性・興味をもっとも重要視しており, 先輩や友人の意見, 親や親戚の意見はほとんど考慮されていなかった. このような調査結果を十分考慮しながら卒前・卒後の一貫した医学教育カリキュラムを立案し現状の改善を志向しなければならないであろう.

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