1999 年 30 巻 6 号 p. 425-431
山口大学医学部の新入生が, 人の死や死ぬということについて, どのような認識を持って入学してきたかを, 1997年と1998年6月にアンケートにより調査した.これは, 山口大学の全1年生を対象にした教養選択科目のなかの生命・医療倫理に関する授業の際に実施した.この講義を聴講した受講者のうち合計415名の学生が回答を行い, このなかには63名の医学部の学生が含まれた.アンケートの結果については, 医学部生の回答を他学部学生の回答と統計学的に比較し検討した.結果的には, 医学部生と他学部の学生の間にはいずれの質問についても, 有意の差は認められなかった.すなわち, 入学試験により入ってきた本学の医学部生は, 生命倫理などに関して特に意識レベルが高いとは限らないことが明らかとなり, 医学概論などの医学教育の改善や強化が課題であると考えられた.