医学教育
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患者のどのような側面が医学生に影響を与えるか
総合診療部における学生実習の定性的評価
山本 和利前川 宗隆福井 次矢新保 卓郎
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2000 年 31 巻 6 号 p. 429-434

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抄録

【目的】総合診療部病棟および外来実習中に, 学生が最も記憶に残った患者についての経験を分類し, 指導医と討論して, 実習で経験した出来事の有用性を同定する.【デザイン】実習で経験した出来事についての記述定性的研究.【設定】大学病院の総合診療部病棟および外来.【対象】1996年10月~1997年9月に臨床実習を行った医学部5年生. 【方法と結果】95のレポートが集められ, それらは7つのテーマに分類された: 学生1名当たりのテーマ報告数は平均1: 85であった. テーマは, 生物医学的側面が68 (72%), 患者・家族とのコミュニケーションが45 (47%)・個人的な感情が26 (27%), 医師の役割が19 (20%), 倫理的側面が11 (12%)・心理・社会的側面が7 (7%)・民間療法の認識が1 (1%) であった.テーマの内容について男女によるレポートの差は認められなかった (テーマ数: 男性1.82;女性2.09).【結論】総合診療部での臨床実習中, 医学生は生物学的側面のみならず非生物学的な側面についても多彩な経験をすることがわかった.

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