医学教育
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探索学習による問題解決能力開発のための患者診療モデルを用いたテュートリアル教育
古谷 伸之福島 統阿部 俊昭
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2002 年 33 巻 1 号 p. 21-30

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抄録

東京慈恵会医科大学では問題解決型思考の開発と学習意欲の高揚を目的に, 4年次前臨床教育としてのテユートリアル教育を平成11年4月より開始した.多面的なアプローチによる探索学習に重点を置いた患者モデルを作成し, 学生主治医グループが総合医学的な診療戦略を学べるよう配慮した.最初の情報を事前配付資料により提供した後, 1週ごとに2回または1回構成のテユートリアル演習を行う.演習はステップごとにminimum requirementを設け, さらにdiscovery learning (探索学習) を促進するため, プリント, 供覧資料のほかテユータによる口頭での回答項目を豊富に用意した.前後の自己学習とテユータからのフィードバックによる問題の抽出と解決が学習の主体となる.試験はmulti-station examinationを導入し, テユートリアル教育の目的と方法論の習得ができるよう配慮した.平成12年度の5年次臨床実習における学生へのアンケートでは, 85%が5年次臨床実習に行うために本テユートリアル教育が必要であったと回答しており, 問題解決型思考の獲得が臨床実習へのスムーズな導入に貢献していると思われた.

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