卒前医学教育において, 内科教育に全人的医療をはじめとした広義の心身医学を学習させる試みを行った.臨床実習での98名の学生による担当患者のextra-medical problemとしてのレポートでは, 94.9%に全人的アプローチによる問題が取り上げられていた.その内容は, 心理的側面に64.3%, 社会的側面に50.0%, 経済的側面に5.1%, 医療者一患者関係に37.8%が触れていた.臨床実習終了後の82名の学生のEgogram Check Listsによる自我状態の自己評価では, CP (Critical Parent) 2.59±1.57, NP (Nurturing Parent) 4.59±1.89, A (Adult) 4.79±1.54, FC (Free Child) 4.85±1.64, AC (Adapted Child) 4.65±1.64であった.臨床実習前の自我状態と比較できた32名では, Aのみが有意に上昇していた (p<0.02).臨床実習を経験することにより, 客観的に物事に対処する自我状態が成長するものと思われた.卒前医学教育において心身医学教育は重要と考えられる.