医学教育
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問題基盤型内科臨床実習 (プレ・クラークシップ) の試み
古谷 伸之吉田 博多田 紀夫小林 正之
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2004 年 35 巻 1 号 p. 57-63

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抄録

安全かつ効果的なクリニカル・クラークシップ導入への準備教育として, 問題基盤型学習 (problem based learning: PBL) の考え方を応用した4週間の臨床実習カリキュラム (問題基盤型臨床実習) を提案し, 医師の生涯を通じて必要とされる自己成長的な学習能力の養成を試みた. 実習は第1週目を診療準備期とし, 問題解決法, 基本的診療技能および臨床推論の準備トレーニングを行った. 第2週目および第3週目の診療実習期で患者を担当し, 第4週目は問題解決期として患者の担当を離れて問題解決に専念した. 問題の抽出と解決は第2週目より行われ, 抽出された問題点を書き留める「問題ノート」と解決した内容を記載する「解決ノート」の日常的な記録により促され, 問題解決に関する発表・討論を行うカンファレンスにより理解を深めることとした. さらに, Evidence-based Medicine (EBM) を問題解決のための一手法として教育し, 担当患者の具体的な問題解決を行った. た, POSに基づいた診療録記載教育を学生間相互オーディットにより実践し, 診療録および診療内容の自己成長的な改善を促した. 本カリキュラムにより, 学生は自己成長的な学習方法の方法論を身に付けるだけでなく, 患者の問題点を深く考察し患者に貢献しうる提案が可能となることにより, 向上への明らかな動機付けが認められた.

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