医学教育
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医療・福祉現場での早期体験実習における医学部実習生の自己評価と看護師の評価
安成 憲一浅田 章山野 恒一西沢 良記新藤 光郎津村 圭広橋 一裕荒川 哲男
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2004 年 35 巻 2 号 p. 121-126

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抄録

大阪市立大学では1994年度より1年次学生に早期体験実習 (early exposure) として, 附属病院, 公立教育病院, 一般急性期病院, 公立一般病院における看護体験実習を必修化している. 本研究では, 実習の体系が定まった2002年度について実習生の自己評価と看護師の評価の比較に焦点をあてて検討し, 評価者から実習生へのフィードバックを介して, より良い早期体験実習の形を提言することを目的とした. 対象は医学生82名とその評価看護師82名である. 実習は1病棟に学生を2名ずつ割り振り, 2日間計16時間介護などを体験する実習を行った. 各実習終了後に, 実習生には実習の満足度を問う自記式調査表 (1. 実習時の緊張, 2. 実習の辛楽, 3. 実習の面白さ, 4. 実習の意義, 5. コミュニケーション, 6. 患者の意見, 7. 学習の方向性, 8. 患者家族との会話, 9. 病棟の生活環境, 10. 関連部門の理解を評価) を提出させた. また, 評価をする指導看護師に協力してもらい, 同様の調査表を客観的に評価してもらった. 実習生の各項目の評価には, 大きなばらつきは認められず, 比較的均質な早期体験学習が行われていることが示唆された. 実習生は学習の面白さや実習の意義について高い自己評価を下し, 早期体験実習を意義あるものとしていたが, 看護師側のそれらの項目の評価は高いものではなかった. 附属病院看護師の評価は学習の方向性, 患者家族との会話, 病棟の生活環境などにおいても実習生自身の評価よりも有意に低かった. 今後はこの結果を踏まえて, 早期体験実習のカリキュラムを看護師サイドの協力を得て改善していく予定である.

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