医学教育
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肺音聴診シミュレータ“Mr. Lung”の使用経験
吉井 千春山内 浩之金子 弘史矢寺 和博川尻 龍典城戸 優光
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2004 年 35 巻 5 号 p. 343-347

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抄録

肺音聴診シミュレータ“Mr. Lung”の教育効果を, OSCEでの使用の有無で比較検討した. 対象は2001年度と2002年度の産業医科大学医学部5年生. 2001年度のOSCEは模擬患者を使って聴診手技を評価した. 2002年度はOSCEの前に1か月間学生が“Mr. Lung”で自習し, OSCEでは“Mr. Lung”を用いて聴診手技の評価に加え呼吸音の異常を解答させた. その後のポリクリで肺音聴診実習に先立ち, 学生に“Mr. Lung”で3症例の肺音の「異常の部位」と「異常の種類」を解答させる小テストを行った. 2001年度学生vs. 2002年度学生の小テスト正答率は, 「呼吸音の左右差」36.9% vs. 35.4%, 「coarse crackles」52.5% vs. 55.8%, 「fine crackles」34.1% vs. 58.3%(p<0.05), 「wheezes」69.2% vs. 70.8%, 「rhonchi」62.1% vs. 90.7%(p<0.01), 「stridor」22.2% vs. 32.6%と2002年度学生の正答率が上回る傾向を示した. OSCEで“Mr. Lung”を使用し, 自由に自習できる環境を整えることによって, 学生の肺音聴診能力が向上する傾向が認められた.

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