2005 年 36 巻 1 号 p. 17-21
全人的医療の必要性が問われて久しい. そして初期研修中に身体だけでなく精神的ケアのトレーニングも必要であるとの意見が強くなってきた. そのような経緯もあり, 平成16年度からの初期臨床研修必修化に伴い, 精神科研修も必修化されることになった. 今回われわれは実際に精神科を研修した一般科研修医, 受け入れる側の精神科医から得た意見を元に, 精神科研修の必修化の意義を改めて検討した. その結果, 精神科研修が一般医の教育として真に実のあるものであるためには, 1) 単なる精神医学的知識だけでなくいわゆる「感性の練磨」など精神科医療の根底にある態度や姿勢を研修医は習得すること, 2) リエゾン, プライマリで必要な内容が研修ではまず要求されている, という精神科側の自覚, の2つが必要であると思われた. また精神科側ではこの研修の導入によって, 精神科医療が変わる可能性も秘めていると考えられた.