医学教育
Online ISSN : 2185-0453
Print ISSN : 0386-9644
ISSN-L : 0386-9644
臨床実習開始前の基本的臨床技能教育における実習法の検討
担任制とローテーション制との比較
前田 光一藤本 眞一團野 大介水野 麗子神野 正敏松村 雅彦藤本 隆中村 忍
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 36 巻 3 号 p. 193-198

詳細
抄録

臨床実習開始前の基本的臨床技能教育における実習方法として, 神経系および外科系以外の領域において1人の教員が全体の分野を通して教える担任制と, 診療部門別に分担して教えるローテーション制との2システムについて, 学生および教員に対するアンケート調査を行い比較検討した. 学生からの回答では両システムとも実習に対する感想は良好であり, 担任制は教員とのコミュニケーションが取りやすい点が良く, ローテーション制は多くの教員から専門的教育が受けられる点が良いとの意見が多かった. しかし, いずれのシステムにおいても指導内容の不一致を指摘する意見が多かった. 教員からは担任制は全体を一貫して教えられる点が, ローテーション制は専門領域のため教えやすい点がそれぞれの良い点として挙げられた. 今回の調査から教員・学生間の良好なコミュニケーションの構築と指導内容の充実が実習を行う上で重要と考えられ, またシステムにかかわらず指導内容を統一することの困難さが明らかとなった. 基本的臨床技能の教育法についての国内で報告は少なく, この分野の研究がさらに必要と考えられた.

著者関連情報
© 日本医学教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top