遺伝子研究の進歩にもかかわらず, 医学部では臨床遺伝に関する授業はほとんど行われていない. 日本医科大学では平成14年から4年生に臨床遺伝コースを行っている. 今回, 医学部2年生に臨床遺伝に関する理解度を質問紙法で調査した.「遺伝する病気」と「遺伝子異常で起きる病気」を混同あるいは差異がわからない学生や, 「染色体異常」を遺伝すると考えた学生が多くみられた. 質問事項正答率の差に高校生物履修の有無の影響は少なかった. 米国では遺伝医学教育のガイドラインを提示している. しかし, 「遺伝医学」の正しい知識を普及するためには, 用語の不統一性からもわが国独自の遺伝医学教育を構築されることがのぞましく, 臨床遺伝教育の現状を把握し, 今後に向けた内容等検討が早急に求められる.