医学教育
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聴診実習の指導経験
心音シミュレータをより活かすために
上嶋 健治
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2006 年 37 巻 4 号 p. 211-213

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抄録

心音の聴診実習に心音シミュレータを用いることは学生への理解を助ける上で有用な手法である. しかし, それ以前に良い聴診器を見極め, 正しい使い方に習熟することが大切である. 学生の陥る共通の問題点として, 1) ベル型採音部を強く押し当てすぎること, 2) 音量が小さいからだけではなく聞こえるタイミングが分からず聞き逃す場合があること, 3) 収縮期と拡張期の時相が鑑別できないことがある. 心音シミュレータは音のタイミソグや時相を学習するには有用なツールである. また, 心音シミュレータを用いて, 聞こえた音を聞こえたように口で表現させる擬音法は, 心音の習得に有用と考える. しかし, シミュレータによって合成された音を学生にそのまま聴取させても, その効果を十分活かせるわけではない.指導者はその有用性と限界を見極め, 学生が陥りやすい問題点を熟知して実習指導に当たるべきである.

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