医学教育
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「師弟関係モデル」から「省察的実践家の育成モデル」へ
医学教育の転換
山口 恒夫
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2007 年 38 巻 3 号 p. 161-167

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抄録

1) 現代は専門職観の大きな転換期である.それは, 「反省的実践家」という新しい専門職増によって特徴づけられる.
2) 専門職の養成は, 3つのモデル (理念型) に分類できる.すなわち, 「徒弟修業的自己形成モデル」「技術的熟達者育成モデル」「反省的実践家モデル」である.
3) 徒弟関係は, 「師」と「弟子」の関係に近代的な意味での教育的な関係が存在せず, 「同一化」と「模倣」による自己形成を原理としている.
4) 現代社会における問題状況の複雑さ, 不安定さ, 固有性, 価値の対立は, 技術的合理性の限界を露呈し, 専門職は「問題」の明確化 (問題状況の物語化) という新たな課題を担うことになった.
5)「反省的実践家」の特徴は「省察」にある.「省察・省察的であること」は, 問題状況に捲き込まれている専門職自身を含む当事者間の協働的関係の構築を目指し, 専門職が内属するコミュニティ在り方の問いなおしを目指す.

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