医学教育
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臨床研修の到達目標に関する研究
卒前医学教育への前倒し導入に関して
石川 雅彦遠藤 弘良林 謙治篠崎 英夫
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2008 年 39 巻 1 号 p. 19-27

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抄録

新医師臨床研修制度の導入に伴い, 卒前医学教育のあり方や初期臨床研修修了後の医師養成のあり方の変容が求められている.
平成18年春に, この新制度の修了者が初めて誕生したが, 臨床研修で習得すべき到達目標のうち, 卒前医学教育に前倒しして実施することが可能な項目があれば卒前医学教育の充実と初期臨床研修の効率化につながると考える.
1) 今回, 臨床研修の到達目標を再評価して, 臨床研修の到達目標のうち, 卒前医学教育への前倒し導入が可能な項目に関する調査を行った.
2) 25の研修病院 (大学病院, 臨床研修病院) の指導医211名と新医師臨床研修制度を修了した3年目の後期研修医184名を対象として, アンケート調査を行った.
3) その結果, 基本的な診察法・検査・手技で, 患者に侵襲を与える可能性が低い項目に関しては, 研修医, 指導医とも卒前医学教育への前倒しに積極的であった.
4) 患者に侵襲を与える検査や治療羞恥心への配慮が必要な手技に関しては, 研修医, 指導医とも, 前倒しに消極的であった.
5) 今後は, 実際に患者に対峙する前のシミュレーション教育の充実と, 指導医の人材確保等を含めた, 卒前・卒後の一貫した研修システム構築が必須である.

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