医学教育
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標準模擬患者の練習状況とOSCEに対する意識: 全国調査第二報
阿部 恵子鈴木 富雄藤崎 和彦伴信 太郎
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2008 年 39 巻 4 号 p. 259-265

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抄録

客観的臨床能力試験 (OSCE) の導入により, 標準模擬患者 (SP) の需要が高まり, 医学教育において重要な役割を担っている. その反面でSPの不安, 不満が高まっている. SPを理解することがSPの質の向上に必要と考え, 模擬患者の意識調査を実施した. 目的はOSCE経験を通してSPがどのような感情を抱いているのか心理面を明らかにすることである.
1) 全国532人のSPを対象に自記式調査を実施し, 332人のSP (62%) から回答を得た.
2) OSCEの練習方法は「シナリオを熟読してから全体で読み合わせをし, ロールプレイをした後演技・評価を全員で統一」が最も多かったが, 時間・方法はグループ問で大きな差が見られた.
3) SPがOSCEで難しいと感じる要因は, 演技では「質問に対してどこまで話したらいいかを判断すること」が73%で最も高く, 評価では「受験者への基準を変えない」が66%で最も高かった.
4) OSCEに対するSPの難しさを減少させるため, 指導者の確保と練習時間の充実が今後の課題と考える.

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