医薬品である酸素,窒素,二酸化炭素,亜酸化窒素等の医療用ガスは,命を支える重要なライフラインである。ガス性 医薬品は厚生労働省所管の医薬品医療機器等法で規制される医薬品であるとともに,経済産業省所管の高圧ガス保安法で規制される高圧ガスでもある。この高圧ガスの大部分は産業ガスとしても使用され,鉄鋼,化学,エレクトロニクス,飲料・食品,建設・機械等,あらゆる工業分野で利用され,モノづくりを支える非常に重要なインフラである。 酸素,窒素,アルゴンは空気を原料とし,深冷分離法,吸着分離法,膜分離法等物理的に分離・精製し,産業ガス・医療ガスとして様々な分野で使用されている。一方,水素,二酸化炭素,酸化エチレン,亜酸化窒素等は,化学反応による製造や工業プロセスからの回収・副産物として精製・供給している。 産業ガス・医療ガスの市場規模は全産業に対し,ごく僅かではあるが,その用途は全産業に亘り活用され,欠かすことのできない製品である。 本稿では,実は経済的・社会的に不可欠なインフラとして医療分野や工業分野等,様々なところで活躍する高圧ガスに ついて,その製造・輸送・利用方法等紹介する。