人間・環境学会誌
Online ISSN : 2432-0366
Print ISSN : 1341-500X
「犬の散歩」をきっかけとする飼い主のパーソナル・ネットワーク
菊池 和美長田 久雄
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2009 年 12 巻 2 号 p. 21-30

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抄録
「犬の散歩」をきっかけに自然発生的に広がる対人交流が,飼い主のパーソナル・ネットワークとしてどのような特徴を有するのか,犬の散歩以外の「その他」のきっかけによるネットワークと比較検討した.対象地域は東京都内の近接型の住宅地域,半径約2キロの範囲とし,協力者は同地域に在住し,同地域内の河川両岸周辺の緑地帯を散歩場所としている犬の飼い主とした.研究1においては,協力者8名に,ノミナル・グループ・プロセス手法を用いたディスカッションに参加してもらい,「『犬の散歩』で会う人」との交流関係を表す言葉を探索的に調査した.結果,「見ず知らずで初対面(以下,『初対面』とする)」,「顔見知りで挨拶をする」,「会えば立ち話をする」,「ちょっとした物のやり取りをする」の4つが抽出された.研究2では,協力者24名(平均年齢61.0±18.36歳)を対象に,「『犬の散歩』で会う人」との間に形成された「犬の散歩」をきっかけとするネットワークと,同地域内で形成された「その他」のきっかけによるネットワークについて比較した.ネットワークの構造については,研究1で抽出された4つの言葉のうち「初対面」を除く3つの交流関係の分類別に,人数推定法を用いて比較した.また,ネットワークの機能については,成員に関する情報や,成員との交流内容を尋ね,比較した.結果,「犬の散歩」をきっかけとするネットワークは,「その他」のきっかけによるネットワークに比べて,ネットワークの規模が有意に大きかった.また,相手の名前を知らずとも,成員との交流関係を維持され,「犬のこと」以外にも地域のさまざまな情報交換が行われ,別の新たな交流機会へと広がることが示唆された.
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© 2009 人間・環境学会
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